<基板分割刃型の基礎>
☆分割方法の種類について
基板の分割は下に見られるように多種多様な方法があり
その中で弊社では「上下刃型」と「当て切り」を採用しています。
①上下刃型
長所・短所
・比較的小さいプレス圧力で分割できます
・切断面は良好です
・初期費用が若干かかります
②当て切り
長所・短所
・比較的小さいプレス圧力で分割できます
・切断面は良好です
③V溝折り割り
長所・短所
・Vカットを入れる費用がやや嵩みます
・折り曲げる為、歪みが大きい
・比較的簡単な治具でできます
・小ロット、単品取りの分割に適しています。
④シャー切
長所・短所
・一括分割に対応出来る(形状によります)
・初期費用が若干掛かります
・クランプ機構が必要です
⑤金型方式
長所・短所
・一括分割に対応出来る(形状によります)
・初期費用が若干掛かります
・切断面は良好です
・脱着の段取りにやや手間取ります
⑥ルーター
長所・短所
・初期費用が掛かります
・分割の際、やや切断くずが出る
・小ロットの分割に適しています
⑦個別切断
長所・短所
・初期費用がやや掛かります
・治具(分割刃物)のみの消耗ですみます
☆上下刃型について
[1]
トムソン型(ビク型)と呼ばれる刃型を用いて印刷用紙などを切断する場合、反対側を当て板で押さえておいて切断します。
当て板の代わりに、反対側も同じ刃型にしたものが上下刃型です。
片面の刃型に比べ、基板に対する分割性が良くなり、また刃の耐久性(寿命)がずいぶん良くなります。
紙フェノールやガラエポ、アリブ基板などの硬質基板を分割するのに適しています。
プリント基板以外にも、アクリル樹脂などの切断にも適しています。
☆加圧の計算方法について
基板分割において、実際の作業を進めて行く上で重要な事柄として、
分割時の加圧量を計算する必要があります。
計算方法にはさまざまな理論がありますが、一般的に下記材料に於いては、
以下の計算方法にて算出する事が可能です。
なお、実際の分割装置のうち、テコの原理を応用した手動タイプで量産する場合、
加圧量は1000kg程度が体力的に限界のようです。
下記例においては、紙フェノール/コンポジットの場合の768kg程度では使用出来そうですが、
ガラスエポキシの場合、1040kg程度となる為、エアーや電気を利用した自動タイプをお勧め致します。
ガラエポ(FR4)
「必要加圧量(kg)=切断箇所の総切断長(mm)×基板の厚み(mm)×10(定数)」
計算例:
[1]
上図条件
・1シート36個の製品基板
・1個あたり4箇所の切断位置
・1箇所あたりの切断部長さ1.2mm
・基板の厚み0.6mm
総切断長 172.8 (mm)
(= 36(1シートあたりの製品個数)×4(1製品あたりの切断個数)×1.2(1箇所あたりの切断長))
基板の厚み 0.6 (mm)
定数 10
必要加圧量 172.8(mm) x 0.6(mm) x 10 = 1036.8(kg)
紙フェノール/コンポジット(CM3)
「必要加圧量(kg)=切断箇所の総切断長(mm)×基板の厚み(mm)×6(定数)」
計算例:
上図条件
・1シート4個の製品基板
・1個あたり2箇所の切断位置
・1箇所あたりの切断部長さ20mm
・基板の厚み1.6mm
※カットポジションにV溝切削加工済み
総切断長 160 (mm)
(= 4(1シートあたりの製品個数)×2(1製品あたりの切断個数)×20(1箇所あたりの切断長))
基板の厚み 1.6 (mm)ですが、V溝加工済みの為半分程度の 0.8(mm)と仮定
定数 6
必要加圧量 160(mm) x 0.8(mm) x 6 = 768(kg)
☆アリブ基板の分割について
不織布から成る新素材“アリブ”の基板は、
これまで用いられてきた基板と比べると、分割することがなかなか難しいようです。
分割方法によっては、糸くずのようなものが切断面に残る傾向があるようです。
私たちも、最適な分割方法を提供すべく工夫を重ねています。
アリブ基板断面の撮影
真横から
斜面から
詳しいお話や不明な点ございましたら、
是非お気軽にお問い合わせください。